外腸骨動脈の線維化症

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Kei Onodera

自己紹介

こんにちは。 この記事を書いた小野寺 慶です。 僕は現在、那須ブラーゼンというチームでプロロードレーサーとして活動しています。 しかし、この記事で書いた病気を発症して今は活動を休止しています。 僕がこの病気を知った時は調べても英語のサイトしかなく、理解するのに苦労しました。 日本では余り知られていない病気ですので、このサイトを見て一人でも多くの人にこの病気について知って頂き、 この病気の研究が進む事を祈っています。

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那須ブラーゼン

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目次

初めに

初めに、これから書く文章は僕自身がこの病気を発症して感じた感覚や主観的な考察と 僕が調べて得た知識を含めた非常に偏った文章です。 僕は医者でも専門家でもない為、情報の正確さは保証できない のでご理解下さい。

外腸骨動脈の線維化症とは、主に自転車選手やスピードスケート選手等が発症しやすく 、高強度域で突然出力が低下してしまう症状の病気です。 この病気の1番大きな原因は長期に亘る股関節の屈曲と考えられています。 発症するのは左脚が多いですが、右脚や両脚に発症する事もあるようです。 ここから出来る限り詳しく説明して行こうと思います。

外腸骨動脈と線維化

外腸骨動脈は股関節付近を流れる10mm程の太い血管です。 詳しく知りたい方は他の医療系のサイトを検索してみてください。 専門家でない限りこの血管が脚に血液を送るのに重要な血管 であるという理解で十分だと思います。

動脈

線維化というのは、簡単に言えば血管の内腔の一部が,細く硬くなってしまう事のようです。 実際に自分のエコーを見た際は、線維化している箇所が白く写り、収縮運動が弱くなっているのが分かりました。

線維化

症状

先ずは、主観的な症状から書いていきます。 自分は左脚に発症したので、左脚の足裏に痛みを感じた事が始まりでした。 高強度になると、直ぐに前腿がパンパンになってしまいます。 自転車選手には2分走全開直後の様な感覚と言えば分かりやすいでしょうか? 自分は360w付近の強度で左脚だけに力が入らなくなりました。 症状が脚がパンパンになる感覚なので、当時の自分は弱くなってしまった感覚に陥りました。

次に、症状が出た時の足首の血圧差を見ていきます。

-60mmhg

写真は運動前と運動後の血圧差です。 病院で正確に測った際は左右で100mmhg以上の差が出てしまいました。

安静時の血圧より運動後の血圧が低くなるのは、普通あり得ません。 ここまで大きく差が出ていれば素人目でも異常だと分かります。

この病気の特徴は写真のデータから分かるように、平常時の血圧は差がない点です。 普通に安静時の血圧測定では異常は見つからないのです。 これが、この病気が見つけづらい原因でしょう。 もし、似たような症状に心当たりがある方は先ず自分で運動前と運動直後の血圧差を測って見て下さい。 後程検査の仕方を紹介します。

原因

線維化が起こる原因と血流が悪くなる原因は血管が正常に動かず、折れ曲がってしまうことで 血管が傷つき細くなって行く事で起こります。 では、なぜ血管が折れてしまうのかを考えてみます。

等が挙げられます。

チューブを血管に見立てたイメージ図です。

正常 異常

これが血流が悪くなるイメージです。

検査の仕方

検査の仕方を紹介します。

用意するもの

検査方法は、最初に安静時の左右の足首の血圧を測り記録します。 その後、自転車に乗り120wから始め2分毎に40wずつ負荷を上げて行きます。 痛みが出始めた強度を記録して、我慢できる所まで踏み続けます。 限界が来たら、素早く自転車を降り、靴と靴下をぬいで痛みの強いほうの脚の血圧を測ります。 その後すぐに逆の脚も測ります。

測定

うちくるぶしとかかとの間に脈があるので、そこにセンサーを合わせます。

検査ミスや誤差もあるので何度か検査をしてみましょう。 平均の左右差が±20mmhg以上あったら疑いを持ちましょう。 安静時より運動後の血圧が低い場合も要注意です。

治療法

治療については医者ではないので詳しくは書けませんが、僕の知っている事のみ書きます。 フランス等の自転車先進国では、線維化している大動脈を切り、自分の余っている血管に置き換えて治す手術が主流だそうです。 他には、血管内にステントを挿入したり等の方法がありますが、血栓ができやすくなり抗血小板薬の服用が必要になるため競技再開を目指すには不向きです。

前者の大動脈を切る手術はリスクが高い為、命に影響のないこの症状でこの手術を行うのは日本では難しいでしょう。 たとえフランスに行って手術ができるとしても、自分にその価値があるかを考えなければならないので難しい判断になります。

自分の考え

自分はこの症状の1番の原因はお腹周りの筋肉による圧迫で、症状を発症させずにレース強度に上げる工夫は出来ないと考えています。 自分で行った検査結果を基に説明します。 検査はエアロフォームを取ると外的な要因で変化しやすく、比較が難しいので以下はエアロフォームを取らずに検査を行いました。

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この様に、トルクをかけずに回転数を高くして行った20分250wとトルクをかけた20分250wで測定の結果が違うのは、 お腹周りの筋肉を多く使うか使わないかが影響していると考えられます。 しかし、いくら回転数を高くしても、一定の強度を超えてしまうとお腹周りの筋肉を使わざるを得ない為、血管を圧迫して痛みが出てしまいます。 以上の結果から、痛みが発生する原因はお腹周りの筋肉で、最終的には強度に依存してしまう事が分かりました。 この事を踏まえると、発症してからフォームの改善や走り方を変える等の工夫でこの症状を治す事は極めて難しいと考ています。

まとめ

自分がこの病気を経験して感じた事は、もっと早く見つけていればと言う感情です。 1年以上原因不明のまま、弱くなっていると思い込んでしまい、 一度目の手術を終えて1ヶ月療養をした後トレーニングを再開したものの治っている感覚は無く、 自然とモチベーションも低下してしまいました。 自転車を嫌いになった訳ではないですが、トレーニングが苦痛に感じることもありました。 このサイトを見て似たような症状の方は疑って見てください。 早めに発見して対応出来れば、手術などをせずに治せるかもしれません。